自然エネルギー推進ロードマップの提案Proposal
世界環境改善連合(WEO)では、かねてより一貫して地球温暖化対策としてのCO2削減の試算、新エネ、省エネの普及促進などの活動をおこない、「地球温暖化防止」と「経済の活性化」が両立できることを主張し続けております。
そしてこのたび、WEOの新たな委員会として「自然エネルギー推進委員会」(委員長・竹原徹雄理事)を発足させ、「地方創生」とエネルギーの地産地消を結び付け、自然エネ・省エネを推進してまいります。
究極的には化石燃料発電も原発も、太陽光・風力・海流・小水力・バイオマスなどを主体とする自然エネルギーを推進することにより、(短期的には化石燃料発電の中で最も低炭素な天然ガス火力の助けをかりつつ)結果として無理なく自然エネルギーを中心としたエネルギー供給体制へのスムーズな転換を可能にします。
また最近の自然エネルギーの発電コストは急減しているのに対し、原発の真の発電コストは急増していること、さらにIPCC (※)の最新の報告にもある通り、地球温暖化の影響が予想以上に深刻化していること、あるいは従来型産業が「変革」に対する抵抗感を抱いていることなどが特筆されます。
我々はこれらの具体的問題を解きほぐし、政争の道具にならないように、そしてこれまでの重厚長大産業や原発の地元の不安を払しょくし、ソフトランディングが可能な答えを用意し、もって次世代に対する責任を果たさんとするものです。
さらに進めて、新たなエネルギー産業改革(第四次産業革命)=成長戦略を、日本だからこそ世界に強く発信できるモデルとして提案するものです。
当委員会では今後も議論を重ね、折に触れて発信していくつもりです。
皆様方の議論へのご参加を歓迎します。
※ IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change 気候変動に関する政府間パネル
・WEOとして推進する考え方(哲学)は、自然エネルギーこそが最重要電源であり、全てのエネルギー源を置き換えていくべきものと位置付け、将来世代にとっても3E(環境、エネルギー、経済が調和した発展)をもたらすものと確信している。
・脱原発論が多いが、数字に裏付けられた事実と見込みの説明が無い。WEOでは、第135回勉強会レジメに示した「原発を太陽光で置換える試算」で、福島原発とその周辺部を一例として、面積的にもコスト的にも置換えが可能であることを示した。
・さらに第135回勉強会レジメに、太陽光発電や風力発電などの出力が変動する欠点はさまざまな方法で解決可能であることを示した。たとえば今日ある既存の揚水発電所や、天然ガス火力、(特に既存のGTCC=ガスタービンコンバインドサイクル発電など)を活用することが、局所気象予測技術の進歩とともに変動吸収に貢献できる。
・また、新技術としては普及促進すべきEVのバッテリーを、地域毎のスマートグリッドに組み込むことにより、安価な変動吸収手段を提供し、需給調整にも役立てる。(EVのシェアが30%程度になれば可能)
・さらに究極的には世界を俯瞰し、年間日射量の高いところで発電し、水の電気分解により水素を製造し、これを炭素と結合させることにより、炭化水素系液体燃料(Solar Fuel )としてタンカーで搬送可能とすることにより、安定した蓄エネルギーとその輸送システムが完成する。
・太陽光発電のFIT認定量は驚くほどの増加を示しており、太陽光発電はコスト低減も進み、ピークロード用としての位置づけで重要電力となりつつある。
・また今後増加するであろう風力・海流などとともに、自然エネルギーの重要度は増大していく。
・小水力やバイオマスも含めて、地域ごとに最適なグリッドを構築することとの組合せによる需給調整を実現するシステム力で、日本が世界に誇る技術とすることが可能となる。
(補足説明)
1.WEOの理事長発信文(2015年1月20日付)で、2030年に日本の全電力の自然エネルギー化が可能であることを示した。
2.自然エネルギーは現在、日本では太陽光発電が主体であり、今後、世界で主体的な風力発電がかなり伸びるとしてもいずれも出力変動が激しいという弱点を抱えているが、その平準化は現存技術や新技術を組み合わせ、様々な方法で 解決可能であることを示した。
新技術として普及させるべきEV(電気自動車)のバッテリーを、地域毎のスマートグリッドに組み込むことにより、安価な変動吸収手段をとして活用でき、需給調整にも役立てる。
EVの普及は都市部を主体に30%程度のシェアがあるとし、そのうちさらに30%程度が駐車中でグリッドに連係されているとすると、600万台程度のEVのバッテリーが充放電待機していることになり、15kWhを掛けると1億kWh(火力発電所の3%程度の能力)の調整代を特段の投資なしに提供できることになる。
3.さらに平準化のためには安定した出力が期待できる、海流発電(黒潮発電)、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電の一部、などを増大させる必要がある。
4.究極的には、変動する自然エネルギーでも世界の条件の良い場所で水の電気分解をし、発生した水素と、CO2を化学反応させて炭化水素系液体燃料(Solar Fuel)にして貯蔵・輸送することにより、化石燃料を置き換えることが可能でしかも現在の石油化学工業のインフラをかなり流用することもできる。
日本には欧米に負けないスピードで実現するためのロードマップ(タイムスケジュール)がないので、今回、2030年までのロードマップを提案するものである。