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温暖化対策の発信を続けます 

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≪2030年、1兆kWhの電力量が必要≫

2013年、日本の使用電力量の実績は電力10社合計で約8500億kWh(発電能力としては1億3000万kWとみられる)程度であった。
今後の経済成長を見込んでも、人口減少傾向が顕在化すること、産業界での省エネ努力と国民に節電傾向が身についたこと、などにより電力使用量の見込みは2030年でも8500億kWh程度に留まることが見込まれている。

 

以下、トップページからのつづき 

 

しかし、電気自動車(EV)の普及促進をめざしていることによる電力量増大と、民生分野の電化の増加を考慮すると、若干の増加傾向が見込めるので、複数の機関の予測も勘案して2030年でも電力需要は1兆kWh程度と予想されている。

この内、非化石電力は2013年に10.7%、昨年度のFIT認証の設備量7000万kWの半分程度が実行されるとして、水力他1500億kWh(設備量1100万kW手程度)である。今後15年間で8500億kWhを自然エネルギーで対応することになる。

 

≪輸入化石燃料を天与の自然エネルギーに振り替え巨額の便益≫

太陽光発電、風力発電はそれぞれ単独でもほぼ全電力を賄い得る賦存量はあるが、実証中の出力変動の少なく安定した電源として期待できる海流発電を数年遅れで加えれば万全となる。

化石燃料輸入費と輸送・保管費用の不要化を便益の源泉として、約20円/kWh(家庭向け@26、大口@14円の平均・・・控えめな数字)の現単価基準で9年程度で62兆円の自然エネルギー設備投資総額を回収した上、さらに85兆円を超す便益を残し、その後年々20兆円程度の便益を生む。

初年から生まれる便益を再投資すれば良いから、初期5年間だけで年々1兆円程度投資すれば、2018年の6兆円を新規投資のピークとして、余剰を生みつつ循環投資ができる。加えて約80万人の雇用を生む。

(2012年7月スタートした固定価格買取り制度は、国民相互間の付替えに過ぎず相殺されるので、全日本で考える場合考慮の外で良い)

 

 

≪主力は太陽光発電、風力発電、黒潮発電≫

太陽光発電、風力発電、地熱発電、小水力、各種バイオマス発電は既にかなり実機が稼働しているが、海流発電は2012年に国家プロジェクトがスタートしたばかりである。

メキシコ湾流と並び世界最大の暖流、黒潮が日本南岸を200km幅、200m深、毎秒1.5mで安定的に流れており、膨大なエネルギーを持つので期待は大きい。

最近の研究(東京大学の高木教授グループの研究)では海流は月別、季節別の変動が大きいので、期待値を低めに設定しているが、それでも2030年の電力使用量の13%は十分賄えると推定できる。

また洋上風力の一部は風車をプラットフォームの上部に設置するが、下部では水車を設置し海流発電とのハイブリッド化することによりコスト低減、相乗効果が期待できる。

また太陽光、風力などの出力が変動する発電の究極の出力平準化方法として、最近注目されている、水素(理想は水の電気分解から得られる水素)と、さらにCO2と反応させることにより、炭化水素系の液体燃料「Solar Fuel(人工LNGを含む)」とする技術が10年程度で実用化される見込みがあるので、エネルギーの貯蔵と輸送が現存する技術(タンカーによる輸送・貯蔵)で解決することがある。

人工液体燃料は現存する石油・ガス利用設備のインフラを残す可能性もあり、一部の産業のソフトランディングの効果も持つ。

発電方法は多様化するが、それらを包括的に制御するEMS(Energy Management System)により最適の需給制御を小さいグリッド(地域振興に最適)から初めて全国へ、さらにアジアへ広めていくことが可能となる。

 

 

≪総エネルギーの自然エネルギー化を目指して≫

現在、電力は総エネルギーの4割を占めており、これらの化石燃料ゼロ化は以上の通り実現するが、産業、運輸、民生にほぼ3分される他の6割が全て電化あるいはバイオ油化またはSolar Fuel化できれば総エネルギーの自然エネルギー化が完成することになる。

◎産業分野では、鉄鋼業における酸化鉄の炭素による還元など、化学反応用であることが多く、加熱エネルギー以外は自然エネルギー化はできない。
農業の温室用でも、昇温だけでなくCO2供給も併せ目的とする品種もある。製鉄では水素還元法が大きく寄与する。

◎運輸はその9割が自動車であり、EV化により8割は電化により半減以下へ省エネをしつつ、自然エネルギー化が可能である。
最も大きな省エネが期待できる分野であり、2030年時にはほぼその域に到達可能である。リチウムイオン電池の改良により、FCVよりはシンプルなEVの普及が期待される。

◎民生は基本的に総エネルギーの全量電化は可能であり、かつその方が便利である。
太陽光発電、風力発電など発電源の分散化により、自然に電化・省エネ、自然エネルギー化が進むであろう。
既存の火力発電所でSolar Fuelを製造するなど、液体やガスのまま使用する用途が残る場合もある。
ここに自動車電化と相まって、電力需要の伸びがGDPの伸びを上回る可能性も出る。

以上のエネルギー産業構造の転換は新たな産業革命(成長戦略を包括する大きな動き)を日本から世界に強く発信できるモデルとなる。

 

・・・<参考>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

<原発に関し>

原発は無くても、数年の時間差で自然エネルギーで賄いうるが、世界的に見た将来の安全保障の観点から、原発は寿命到来毎に廃止し、2030年時に少量を残すという考えもある。

 

<黒潮発電>

(日刊工業新聞Business Line 2013年10月31掲載)
IHI、東芝、三井物産戦略研究所、東京大学の原案は40mφのプロペラ2台を反転併設(2台で1基2000kW)し、海底から緊結し50m程度の海中中層に浮遊させて海流に沿わせ、10km四方に100基を並べ20万kWの海流発電ファームを建設しようとするものである。2020年ころまでに単機出力2MW、発電コスト20円/kWhの達成に目途が付いているという。洋上風力との併設(ハイブリッド)もあり得よう。

 

<発電ポテンシャル>

◎太陽光発電 (NEDO再生可能エネルギー技術白書・みずほ総研資料)

住宅用(戸建49GW+集合42GW)91GW, 公共産業建物65GW, 放棄地など空地566GW  合計 722GW ⇒ 利用率12%で計算すると 7600億kWh/Y

◎風力発電 (NEDO再生可能エネルギー技術白書・経産省推計)

陸上風力 2億9000万kW ⇒ 7000億kWh/Y (利用率約28%)
洋上風力 15億kW ⇒ 4兆4000億kWh/Y   (利用率約34%)

◎海流発電

(NEDO再生可能エネルギー技術白書・経産省推計)

海流の賦存量250GWに対して利用量1.3GW ⇒ 10TWh (100億kWh/Y)

この時の流速1.0m/s以上

 (WEOの試算:利用量を賦存量の2%として5GW ⇒ 38.5TWh(385億kWh/Y)

流速は1.5m/sとすると三乗比例なので1.0m/sの3.37倍の出力

(平均流速3ノット(1.5m/s))            ⇒ 1300億kWh/Y  (13%)

利用率80%で上記10km四方・20万kWの海流発電ファームの数を計算すると、

1300億kWh/Y ÷0.8÷8760h/Y = 0.186億kW = 1860万kW

1860万kW ÷ 20万kW = 93 カ所(ファーム数) ⇒100ケ所に丸める。

10km四方 × 100か所 = 1000平方キロ

四国沖―和歌山沖及び、伊豆半島式根島近辺にかけての流速の強い海域は幅80km ×長500km = 40000平方キロは利用可能。

トカラ諸島や八丈島周辺にも強い流れはあり十分ゆとりがあると考え、100ケ所設置可能としておく。

また、別の資料(参考資料1)によると、10km四方に600基・120万kWを設置する試算もあるので、能力として十分なゆとりがあると考える。

(参考資料1)海流エネルギーを利用した水中浮遊式発電システム(加藤・久保・上田)東芝レビューVol.68 No.6(2013)

 

ここで、海洋エネルギーを利用した発電方法で、類似する3種類ついて一般になされている解説を以下に記す。

海流発電(潮流発電):海流による海水の流れを羽根の回転(水車)で発電機を駆動。

黒潮(日本海流)は世界有数の巨大エネルギーを持つ海流。

潮力発電(潮汐発電):干潮・満潮の潮位差や急流を利用して水車の回転で発電機を駆動。

仏、加、韓などで大型機が稼働中。日本での適地は少ない。

波力発電:主に海の波の上下運動を空気タービンやジャイロ方式の回転力にして発電。

日本は適地が多く航路認識ブイなど小型から実用化されている。

英国では商用段階へ移行しつつある。

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