「2020-3月・時代の足音」第203回勉強会 2020-3-18
「時代の足音」 2020年2月20~3月18日
2月21日
21日に開幕したサッカーJ1。BMWスタジアム平塚(神奈川県平塚市)では予定どおり湘南―浦和戦が行われた。マスク姿のサポーターでスタンドは埋まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、厚生労働省は20日、「開催の必要性を再検討して」と求めた。開催か、それとも中止か。判断は割れた。
2月22日
新型コロナウイルス薬として備蓄している「アビガン」の効果を確かめる臨床研究として、患者に使い始めた。ウイルスの増殖を妨げる効果が期待でき、中国でも研究されている。アビガンは新型インフルエンザ治療薬としてすでに承認されており「安全性は一応、確認されている」ことから、国立国際医療研究センターなど2カ所の医療機関で治療に同意した患者を対象に症状の変化をみる。効果が確認できれば研究に参加する医療機関を増やす。
2月24日
新型コロナウイルスの日本での感染の広がりを受けて、オーストラリアの外務省は日本への渡航警戒レベルを、4段階のうち下から2番目となる「十分に注意」に引き上げた。
2月25日
新型肺炎の拡大で、2億人以上の出稼ぎ労働者が春節で郷里に戻ったまま、職場に戻れていない中国。工場や物流を再開させるため地方政府が鉄道や飛行機を借り切って労働者を連れ帰る大胆な作戦を始めた。仕事のない他の業界の従業員を借りる「シェア従業員」なるサービスも登場した。
2月26日
理化学研究所などの研究チームが2014年、失明のおそれもある病気「加齢黄斑変性」の患者自身の細胞からiPS細胞をつくり、網膜色素上皮細胞に変えて移植した。iPS細胞からつくった組織が移植された、世界初の例だ。iPS細胞は無限に増える特徴がある。
2月28日
小泉進次郎環境相が、温室効果ガスを多く出す石炭火力発電プラントの輸出の要件を厳しくする方向で省庁間の議論の道が開かれた、と発表した。国際的に温室効果ガスの一層の排出削減を迫られている中、具体的な一歩となる。6月に出す結論にどの程度踏み込んだ内容を盛り込み、政府方針に反映できるかはこれからだ。最新型でも天然ガスの2倍の二酸化炭素を排出するため国際的に厳しい視線が注がれている石炭火力発電。小泉氏は、輸出についての政府の支援要件を厳しくする方向で関係省庁と協議することを明らかにした。輸出が減れば脱炭素、地球温暖化の緩和につながる。ただエネルギー政策の管轄は経済産業省、海外支援は外務省、「環境省に政府全体の音頭がとれるのか」と問われると、「環境省はエネルギー政策の直接の所管ではないが、COP(コップ)という最前線にたつのは環境大臣だ」と口にした。
2月29日
首相は、全国全ての小中高、特別支援学校などの臨時休校を要請することを表明した。保護者の出勤が難しくなるといった問題への対応策が説明されないままの表明で保護者や学校現場などに混乱が広がっていた。
3月1日
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための臨時休校の要請を踏まえ、加藤勝信厚生労働相は小学生らの保護者の休業を支援する助成金制度の検討状況を説明した。休業中も基本給などを支払うよう企業に要請し、応じた企業には負担額の5~7割ほどを助成する方向という。保護者の休業に伴う収入減に対応するため、正規・非正規を問わない助成金制度をつくる、と表明してる。
3月2日
臨時休校で、仕事を休んだ従業員に給料を全額支払った企業を対象に、1人当たり日額上限8330円の助成金を出す新たな制度の概要を発表した。正規雇用、非正規雇用を問わない一方、フリーランスのスタイリストやカメラマンなどの個人事業主や、自営業者の保護者は対象外。
3月3日
国内の外来診療で出された抗菌薬(抗生物質)の6割近くが、効果がない風邪などウイルス性の感染症への不必要な処方だったことが、自治医科大などの研究チームの調査でわかった。75%は専門医らが推奨していない薬だった。
人口1千人あたり704件処方されており、米国の1・4倍だった。
3月4日
政府は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な北海道の住民に、1世帯当たり約40枚のマスクを配布する。感染者が増えている自治体が対象で、マスクの製造業者に対して、国民生活安定緊急措置法に基づき計400万枚の売り渡しを指示した。
3月5日
新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が、12日に衆院を通過する見通し。感染が広がる中、日本人や日本からの渡航者の入国・入域を制限する国・地域が増えている。3日にはインドが突然査証を停止。成田空港発の同国便から日本人の姿が消えた。中国国内の自動車メーカーでつくる乗用車市場情報連合会は、2月の国内の乗用車販売台数が前年同月より80%減ったと発表したた。トヨタ自動車が同日発表した中国での2月の車販売台数は前年同月比70・2%減の2万3800台。
3月6日
5日のニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株平均が急反落し前日比969・58ドル(3・58%)安い2万6121・28ドルで終えた。前日4日には史上2番目の上げ幅の1173ドル高となったばかりで、まるでジェットコースターのような相場展開。ダウ平均は連日のように1千ドル近い急騰と急落を繰り返し、世界のマネーの流れが変調を来している。
3月8日
国際女性デー(8日)、男女格差121位に沈む日本。政治分野と経済が足を引っ張り、管理職の女性比率の低さが指摘されている。なぜ女性登用が進まないのか。それは、上司が抱く女性部下への「無意識の偏見」と言われている。知らず知らず女性の部下を「差別」していませんか?女性を活用しなければ、推計で、2030年までに640万人以上が不足すると言われている。
3月9日
新型コロナウイルス感染症の専門家らの政府の専門家会議が9日、開かれた。「国内の状況は諸外国と比較しても爆発的な感染拡大には進んでおらず、なんとか持ちこたえられている」との認識を示した。
専門家会議は2月24日に「これから1~2週間が(感染の)急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」とする見解を公表した。
1回目の見解の後、政府は2月25日、感染拡大を防ぐための基本方針をまとめた。全国的なスポーツイベントなどの自粛要請の期間について、厚労省幹部は9日夜、19日ごろまで続ける意向を示した。
3月10日
10日の東京株式市場で、日経平均株価は一時、700円超下落し、1万9000円を割り込んだ。取引時間中に1万9000円を割るのは2018年12月26日以来、約1年3カ月ぶり。前日9日の米ニューヨーク株式市場ではダウ工業株平均が2013ドル安と史上最大の下げ幅となり、新型コロナウイルスの感染拡大と原油価格の暴落への警戒感が高まっている。
3月11日
東日本大震災から11日で9年となる。死者・行方不明者、関連死を含め2万2167人が犠牲、全国に散らばる避難者はいまだに4万7737人。岩手、宮城、福島3県のプレハブ仮設住宅には今も709人が暮らす。沿岸部の人口減少に歯止めがかからず、3県の人口は震災前から30万人以上減った。国が定めた「復興・創生期間」は最後の1年を迎えるが、復興はまだ途上。
3月12日
新型コロナウイルスの感染拡大によって減速感が強まり、景気悪化への危機感が強く、大型の対策は必須の状況。
「詳細はこれからだが、どーんと大きい補正をする」と語った。年度早々の4月に経済対策をまとめるのは異例で、リーマン・ショック後の2009年に国費15兆4千億円の対策を出して以来となる。
3月13日
レストランで5キロの肉の塊を購入すると、2カ月間定額でステーキを注文できる。その間に肉は熟成してうまみを増す。そんな定額制、サブスクリプションのサービスを15日から福岡市のレストランが始める。レストランは「ビストロ・ロベール・エ・ルイーズ」。新型コロナウイルスの感染拡大防止で自粛ムードが広がり、外食産業も影響を受ける中、「こんな時にこそいいサービスでは」と常連客から提案された。
3月14日
首相による緊急事態宣言を可能とした改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が14日、施行された。首相は国民の私権制限を含む緊急事態宣言について「現時点で緊急事態を宣言する状況ではない」との認識を示した。
この改正特措法で、新型コロナが対象に加わった。政府は13日、政令で対象とする期間を来年1月31日までと定めている。
3月15日
朝日新聞社の全国世論調査によると、東京五輪・パラリンピックは「延期する」が最も多く63%で、「予定通り開催する」23%、「中止する」9%の順だった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京五輪の延期論が国内外で広がっている。東京都民も67%が「延期」と答え、「予定通り」は21%だった。
【番外】
英石油大手BPは2050年までに石油・ガス生産部門からの温室効果ガス排出量を実質0にする「カーボンニュートラル」方針を発表した。株主や環境保護団体は歓迎している。一方、独総合電機大手シーメンスはオーストラリアで炭鉱開発事業を推進する姿勢を貫き環境保護団体から非難されている。
BPのバーナード・ルーニーCEOは、「気温上昇を一定水準に抑えるために設定されている温室効果ガス総排出量の上限である炭素予算は有限であり、急速に上限に近づきつつある」とし、当社は排出量実質0に向け急いで変革する用意があると述べた。大手石油会社がここまで大胆な気候変動対策を打ち出したのはBPが初めて。
一方、パリ協定に逆行するような事業展開をし、各方面から非難の的になっているのがシーメンスだ。気候問題に関して同社は「悪者」になった形だ。
日本は傍観者を決め込むのか。