時代の足音 2月
1月28日
新型コロナウイルスのヒトからヒトへの二次感染が28日、国内で初めて確認された。発生地の中国・武漢市(湖北省)への滞在歴のないバス運転手の男性が、感染していた。世界的に感染が拡大する中で「想定された事態」としつつ、国内ですでに感染が広まっている可能性を指摘する専門家もいる。
1月29日
在留邦人の帰国が始まった。29日には第1陣の206人が羽田空港に到着し、安堵(あんど)の表情を見せた。感染が広がらないように注意を払いつつ、次の帰国への備えが官民で進む。
1月31日
英国が31日、欧州連合(EU)から離脱する。1952年にEUの前身組織「欧州石炭鉄鋼共同体」が発足して以来、一貫して拡大を続けてきた組織から加盟国が減るのは初めて。欧州統合史の岐路となるとともに、世界経済や国際秩序に与える影響も大きい。欧州議会の英国選出議員は席を失う。EU加盟国は27になる。
2月1日
日本銀行が31日公表した調査結果によると、全国400超の金融機関のうち約4割が、最近2年余りの間にサイバー攻撃を受けていた。約1割はサイバー攻撃で、「業務・経営に影響があった」という。脅威は高まるが、6割弱の金融機関が人材確保に悩む実態も示された。
「重大な影響があった」1・2%、「軽微な影響」9・5%、「影響はなかった」29・1%だった。
2月3日
愛知県の職員が身元不明の70代男性をいったん保護した後、管轄地域外へ連れて行き、深夜に公園に放置したまま立ち去っていたことが3日、関係者への取材で分かった。男性は脳梗塞(こうそく)を発症した疑いがあり、現在病院で治療を受けているという。
2月3日
西武鉄道が運営する遊園地「としまえん」(東京都練馬区)が閉園となり、跡地に「ハリー・ポッター」のテーマパークが建設される見込みとなった。テーマパーク大手は好調な集客を背景に競争が激化しており、今年は東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)などで大型リニューアルが相次ぐ。中・小規模な遊園地は苦戦が続いており、二極化が鮮明となってきた。
2月4日
米ニューヨークの国連本部で3日、気候変動問題に関する会合があり、グテレス事務総長は、二酸化炭素(CO2)の排出が多い石炭火力発電への依存が東アジアなどで顕著だと指摘し「石炭中毒を打破しなければならない」と訴えた。石炭利用の多い日本や中国が念頭にあるとみられる。日本は昨年12月の国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で温室効果ガスの削減目標を引き上げず、国際社会の批判を浴びた。
2月5日
ネット広告は、地上波テレビを抜いて媒体別で最大の市場になる見通しだ。質、量ともに想像を超える個人データを収集し、その人に合わせた内容を届ける。守るべきは便利さなのか、それともプライバシーか。広告には1700もの別バージョンがある。あるものは、サッカーボールを抱えた若い男性が車で出かけようとする。美容や料理、キャンプやサーフィンといった趣味ごとに、時間も昼夜と使い分け、その人の関心をピンポイントで見透かすように、広告を出し分ける。
2月6日
楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日、自社の通信網を使った本格的な携帯電話のサービスを「4月から始める」と明言した。楽天は当初、昨年10月のサービス開始をめざしたが、基地局の建設が遅れて間に合わず、5千人限定で無料サービスを始めた。誰でも申し込める有料サービスは今春まで先送りしていた。
2月9日
新型コロナウイルスによる肺炎が各国に広がっている。人類の歴史は、感染症との闘いの歴史でもある。人類はウイルスや細菌をつきとめ、ワクチンや治療薬作りに力を入れ制圧に成功したものもある一方で、たびたび、未知の病原体による新興感染症の流行が繰り返されている。山内一也・東京大名誉教授によると、人間の体内にいるウイルスは、元はすべて動物から来ており、歴史的にみれば、野生動物との接触によって人に感染するウイルスの出現は繰り返されてきたという。グローバル化を人の動きを海外旅行客の数で比べてみると、SARSが流行した03年当時は世界全体で約7億人だったのに対し、18年には14億人を突破、倍増している(国連調べ)。18年の出国者数を国別でみると、中国が約1億4300万人で最も多く、2位のドイツ(1億800万人)を大きく引き離している(OECD調べ)。
2月7日
映画「不都合な真実」などで地球環境問題を訴え、ノーベル平和賞を受けたアル・ゴア元米副大統領は、気候危機に立ち向かうリーダーを育てる「クライメート・リアリティー・プロジェクト」を主催し、10月に日本で初めて研修を開いた。東京・お台場の会場に約800人が参加、高校生など若者も大勢加わった。数百万人がデモ行進に参加する海外に比べ、日本ではデモに参加する若者が少ない。このことを心配する声があるが、私は日本の政治文化がほかの国と違うのを知っている。日本の若者たちは、コンセンサスを変えていくという日本のやり方で変革をもたらすと決意している。私は彼らに触発された。と述べた。
2月10日
南極のアルゼンチン・エスペランサ基地ー。ここでとんでもない気温が観測されています。 その気温とは18.3℃で、現地時間7日(木)に記録されました。この気温は南極大陸の観測史上、最も高い記録となる可能性があります。 エスペランサの2月の最高気温の平均は3.7℃、平均よりも15℃近く暖かかった。
2月11日
「最盛期と比べて、売り上げは6割減」。海鮮バーベキューを味わえるが、全40席のうち埋まっているのは半分ほど。以前は利用者の半分ほどを中国人が
占めていた。女性従業員(62)は「我々は中国からのお客さんに依存しすぎていたのだと思い知らされた」と話した。
2月12日
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスによる肺炎を「COVID―19」と命名した、と発表した。コロナウイルス(coronavirus)と(disease)の文字に加え、新型肺炎が最初に確認された2019年を組み合わせた名称。「ワクチンの準備には18カ月はかかるだろう」と指摘。
2月13日
南寄りの暖かい風が流れ込んで気象庁の観測所約900地点のうち、42地点で2月の観測史上最高気温となった。気象庁は、北海道新得町で11・9度、和歌山県新宮市で24・8度を記録。四国では12日午後から13日明け方にかけて「春一番」が吹いた。
2月14日
敦賀原発の新規制基準に基づく審査で、原電が調査資料の記述を書き換えていたことを受けて、原子力規制委員会は、原電にこの資料の「原本」を提出するよう求めた。資料は、原子炉建屋直下の断層が活断層かどうか判断するのに必要な敷地内のボーリング調査の結果。科学的な「生データ」にあたる地層の観察記録の記述を無断で上書きしていたことを、審査で規制委に指摘された。
2月15日
トヨタ自動車は、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で操業を停止している中国国内の四つの工場のうち、3工場を17日以降に再開することを明らかにした。トヨタは「各地方政府の方針に従い、社員と関係者の安心・安全を第一優先に考えた」と理由を説明している。
2月16日
内閣府が公表した昨年10~12月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動を除いた実質(季節調整値)で前期(7~9月期)より1・6%減り、5四半期ぶりのマイナス成長となった。この状況が1年続いたと仮定した年率換算では6・3%減。10月からの消費増税に台風被害なども重なり、個人消費が落ち込んだことが大きく影響した。
2月18日
韓国が1月に輸入した日本製消費財は前年同月比で約36%減り、昨年7月の日本の輸出規制強化を機に始まった不買運動が続いている。韓国国会議員が韓国関税庁から提出を受けた資料で分かった。1月の日本からの消費財の輸入は約1億9千万ドル(約200億円)で、消費財全体(約9%減)よりも減少幅が大きかった。昨年12月には23%減と減少幅は縮小していたが、再び拡大した形だ。
2月19日
米IT大手グーグルが昨年10月、開発している量子コンピューターで「世界最速のスーパーコンピューターが1万年かかる計算を200秒で終わらせた」と発表した。暗号は、あらゆるところで使われている。メールの送受信、インターネット経由の送金、電子商取引など。これらが安全にできるのは、通信が暗号化されているからだ。その暗号が、簡単に破られたら、通信の安全は崩壊する。量子コンピューターの実用化はまだまだ先とみられるが、それでも発表後、ビットコインなど暗号技術を駆使して価値を担保している暗号資産(仮想通貨)の価格は軒並み急落した。
2月20日
これまで主な感染ルートとして挙げていた飛沫感染と濃厚接触による感染に加えて、密閉された環境で長時間、高濃度の「エアロゾル」にさらされた場合には、「エアロゾル」感染が起きる可能性があると指摘した。
「エアロゾル」はごく小さな粒子のことで、これまでのガイドラインでは、「エアロゾル」による感染については、まだ明らかになっていないとしていましたが、中国がこれを認めた。風下の日本は要注意かも知れない